神話とか、古代史とか。

日本をはじめあちこちの神話や古代史、古代文化について、考えたこと、わかったこと、考えたけどわからないことなど。

はじめに

基本的には、過去に発表した論文などをPDF化して、ひっそり公開する場所ということにしたい。でもこれらはいかんせん論文調で(論文だから仕方ない気もするが)、いま見ると多少読みにくい。 これだとどうも不親切なので、ブログの本文であれこれと、解説も…

2017年以降の論文

「はじめに」に追記するつもりでいたが、1つの記事があまり長くなるのはなんか嫌なので、別立てにしてみた。 2017年の「ワカヒコ - タカヒコネ神話と昔話」「ウケヒと『競争的単性生殖』」に続き、今年は「『物言わぬ子』と異類婿」「東と西の『影鰐型』説話…

新版・世界の七不思議 2 - まずは候補を挙げてみる

ここからしばらく、「七不思議」の候補を並べて品評してみたい。数が多いので、一応「クラスA・B・C」の3つに分類した。 で、まずクラスAの顔ぶれは次の通りである。 ① ナスカの地上絵(ペルー)② イースター島(チリ)③ マチュピチュ(ペルー)④ ストー…

「東と西の『影鰐型』説話」、公開中

ここにも書いたが、この春『説話・伝承学』26号に、「東と西の『影鰐型』説話」という論文を発表した。「2017年以降の論文」ページに置いとくので、興味のある人は(ない人も)ダウンロードしてもらえると、精神衛生上助かる。 「影鰐型」とは、たとえばこん…

新版・世界の七不思議 1 - これでいいのか、七不思議

ここらでちょっと趣向を変えて、「新版・世界の七不思議」というのを考えてみたい。要は、これまで発表された「世界の七不思議」にいろいろ不満があるので、自分的に納得いくものを選定したいという話だ。あるいは世界の遺跡について、「ああでもない、こう…

スサノヲとナマハゲ 17 (終) - 鳥と獣と穀物霊

図1 山形のカセ鳥*1 図2 佐賀のカセドリ*2 前回、「カセドリ」と呼ばれる来訪神たち(図1・2)が、鳥とみなされてることに触れた。最後にもう少し、この件について補足しておこう。ここへ来て、スサノヲとあまり関係ない話題でしめるのもちょっとどうかと思…

スサノヲとナマハゲ 16 - ほかにはこんな来訪神

スサノヲと植物仮装来訪神についてはあらかた語り終えたので、多分次あたりで終わりである。日本をはじめ、あちこちの仮面・仮装来訪神たちに登場願ったが、もちろんこれで全部ということはない。せっかくだから、ここまでにとり上げきれなかった来訪神たち…

「縄文―1万年の美の鼓動」展に行ってきた

東京国立博物館(平成館)で9月2日まで、特別展「縄文―1万年の美の鼓動」をやっている。東京に用があったついでに見てきたので、その感想を。ちなみにこの展示は巡回しないから、東京行かないと見られない。 さすが国立と言うべきか、日本中から容赦なく、優…

スサノヲとナマハゲ 15 - 動物仮装の来訪神

ここまでは、植物に仮装する来訪神ばかりとり上げてきた。でも来訪神の中には、動物に仮装するタイプも少なくないのである。 図1 熊男(右は「苔男」)*1 図2 ギッゲラー*2 図3 クケリ*3 たとえばオーストリアのブロッホツィーエン(丸太引き)という祭には…

スサノヲとナマハゲ 14 - スサノヲの2つの顔

「スサノヲ=植物仮装来訪神」説に有利な神話として、第7回から11回までに、以下の物語をとり上げてきた。 1. スサノヲ本人が植物と、直接結びついている話(第7回)・スサノヲが木をつくる話――『日本書紀』・草を束ね、蓑と笠にする話――『日本書紀』・木の…

スサノヲとナマハゲ 13 - 大歳の客

蘇民将来伝説(第11回)や「厄病神」(前回)は要するに、「神々が人里を訪ねたとき、冷たくした者は罰を受け、もてなした者は(それなりに)報われる」 という話である。日本の昔話研究では、この手の物語は「大歳の客」と呼ばれている。たとえば沖縄本島に…

スサノヲとナマハゲ 12 - 病は「木」から

蘇民将来伝説(前回参照)のスサノヲは、茅の輪を着けてない人間を、ひと晩で全滅させている。どうやって殺したかは書いてないが、すぐ後に、「疫病が発生したときは、茅の輪を着けろ」 とのセリフがある。ということはこのときも、疫病でさくさく殺したのだ…

スサノヲとナマハゲ 11 - 蘇民将来の話

「『スサノヲ=植物仮装来訪神』説に有利な神話を挙げていこう」シリーズもこれで5回目だ。最後にとり上げるのは、「蘇民将来」の神話である。これだけは、『古事記』『日本書紀』や『出雲国風土記』じゃなくて、『備後国風土記』の逸文に出てくる。 ちなみ…

学会発表と、論文の件

ここで予告した通り、説話・伝承学会の春季大会で発表してきた。「兄妹始祖の『物めぐり』」という例のアレだ。 始祖神話には、兄妹で結婚する話がちょいちょいある(洪水で人類があらかた滅んでるから、仕方ないのだが)。そういう兄妹は結婚前に、柱とかの…

スサノヲとナマハゲ 10 - 女神を殺す男たち

久々にスサノヲの話である。今回とり上げるのは、スサノヲによる「オホゲツヒメ殺し」の物語だ。『古事記』によれば、事件の概要はこんな(↓)感じ。 天界から追放されたスサノヲは、オホゲツヒメという女神に「喰い物くれ」と言った。オホゲツヒメは、鼻の…

また発表とかする予定

来月、「説話・伝承学会」の春季大会で発表する予定になっている。タイトルは、「兄妹始祖の『物めぐり』」という。天理大学でやるそうだが、行ったことはない。割と久々の関西だ。 あと、また論文を発表した。「『物言わぬ子』と異類婿」というタイトルで、…

スサノヲとナマハゲ 9 - 「底」と「根」の国

「『スサノヲ=植物仮装来訪神』説に有利な神話を挙げていく」シリーズ第3弾は、「スサノヲと根の国との結びつきを物語る神話」だ。ちなみに「根の国」とは、要するに死後の世界である。「その根の国と、植物仮装来訪神になんの関係が?」 という点は、おい…

スサノヲとナマハゲ 8 - 種まく子ら

前回に続き、「スサノヲ=植物仮装来訪神」説に有利だなぁ、と思える神話を挙げていこうという話である。今回はその第2弾、「スサノヲと植物との結びつきが、間接的にうかがえる」神話特集だ。要するに、スサノヲの関係者(特に子供たち)には、植物神・穀物…

スサノヲとナマハゲ 7 - 草と木とスサノヲ

だいぶ遠回りした気がするが、ここからスサノヲの話である。そもそもこの「スサノヲとナマハゲ」は、「スサノヲは、本来暴れん坊の英雄とかじゃなく、植物で仮装するタイプの来訪神だった!」 と、主張するためのコーナーだ(第2回参照)。 この主張を裏づけ…

スサノヲとナマハゲ 6 - 陰謀じゃない方の秘密結社

「植物仮装来訪神の共通点」(くわしくはこちら)シリーズ第3弾、「秘密結社、または男子結社を構成する」の話である。第1弾は第4回、2弾は第5回でやったので、未読の方は参照されたい。 秘密結社という言葉には、男の子の男の子心(←?)を刺激する何かがあ…

スサノヲとナマハゲ 5 - 「泣ぐ子いねがー」な、人々

前々回からしつこく書いてるが、植物仮装来訪神たちの共通点は次の3つである。 1. 「祖霊」、または「死霊」とみなされている。2. 子供に対して教育的(むしろ、脅迫的?)な機能をもつ。3. 秘密結社、または男子結社を構成する。 今回はその2つ目、子供の教…

スサノヲとナマハゲ 4 - 死者たちの帰還

世界の「植物仮装来訪神」には、 1. 「祖霊」、または「死霊」とみなされている。2. 子供に対して教育的(むしろ、脅迫的?)な機能をもつ。3. 秘密結社、または男子結社を構成する。 という共通点があると、前回で書いた。ここからしばらく、これらの特徴を…

スサノヲとナマハゲ 3 - 植物のお化け

前回に続き、スサノヲと「植物仮装来訪神」の話である。ここで一応、植物仮装来訪神なるものを定義しておくと、「植物(主に葉と茎の部分)で、体の大半を覆った来訪神」 ということになる。 図1 ボゼ*1 たとえば日本では、悪石島(鹿児島県)のボゼ(図1)…

スサノヲとナマハゲ 2 - 訪れる神

「スサノヲと植物仮装来訪神」という論文(くどいようだが、「はじめに」からダウンロードできる)のキモは、ざっくりまとめるとこういうこと(↓)になる。 一見よくわからん神であるスサノヲだが、その一番コアになる性格は、「植物仮装来訪神」としての顔…

スサノヲとナマハゲ 1 - 木をつくる巨人

ここからしばらく、「スサノヲと植物仮装来訪神」という論文(「はじめに」からダウンロードできる)の話がメインになる。多分だが、釣手土器のときほど長くはならないと思う。 『古事記』の神話を読んだ人ならたいていスサノヲについて、「なんか知らんが、…

苗字で呼ばれない人々

もはや古代史でもなんでもないが、「ナポレオン」という名前がふと気になったことがある。あたりまえだが、彼のフルネームは「ナポレオン=ボナパルト」。特に世界史では、歴史上の人物は苗字で呼ばれるのが普通である。なぜナポレオンは苗字(ボナパルト)…

アーサーの呪い

その昔、『アーサー王の死』という本を読んだことがある。トマス=マロリーが15世紀に書いた本で、数ある「アーサー王伝説まとめ本」の中でも、集大成と言われてるらしい。 でもこの『アーサー王の死』というタイトルは、もうちょっとどうにかならなかったも…

謎の「養布神社」

谷川健一『白鳥伝説』(集英社)234ページによれば、兵庫県養父郡養父村の「大上川養布神社」に、「降り鐘」というのが祀られてる。物部川から石をとり出して、このお宝を乗せとくと、必ず雨が降るのだという。降り鐘と言ってもお寺の鐘ではなく、弥生時代(…

釣手土器の話 35 (終) - 文様は読める

釣手土器について、語りたいことは語り終えたので、今回でひとまず終わりである。最初から(途中からでも)最後まで目を通してくれた人がいるのかどうかわからないが、もしいたとしたら感謝に堪えない。 ちょいちょい脱線もしたが、このシリーズ(?)の眼目…

「比較民俗学会」の大会に出てきた

論文を載せてくれる(数少ない)学会――比較民俗学会の大会(11月4~5日)に参加し、発表もしてきた。 http://norinagakinenkan.com/whats/hikaku2017.html 特にとちりもせずしゃべれたのはいいが、発表の後会場が、「きょと~ん」な空気になったのはなぜだ。…