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釣手土器の話 12 - 渦巻きな目の人

 前回とり上げた3つの顔面把手の中でも、二宮森腰遺跡のもの(図1)は一風変わっている。

f:id:calbalacrab:20170220115842j:plain図1 二宮森腰出土*1

 表が丹下左膳状態*2なのもアレだが、裏側の顔(?)は両目が渦巻きで、「目を回した人」の古典的表現のようだ。

 これとほぼ同じデザインは、花上寺*3遺跡出土の「人体装飾付土器」(図2)にもある。

f:id:calbalacrab:20170225233833j:plain図2 花上寺出土

 「目」にあたる部分はやはり渦巻きで、その間をヘビがはい上がっている。ちなみにヘビの頭の形は、海戸遺跡の顔面把手裏側(図3。くわしくは前回参照)のそれにそっくりだ。

f:id:calbalacrab:20170225231415j:plain図3 海戸出土

 真ん中をヘビがはい上がるという特徴から、花上寺土器のこの部分も、例の「目ばかりの顔」だろう。「目を渦巻きで表してみよう」と思いつく人は、案外昔からいたらしい。

 ちなみに渦巻きの目と言えば、マヤの太陽神・キニチ=アハウ様(図4)も外せないところだ。いつ見ても、夢に出てうなされそうなこの圧の高さが素晴らしい。

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図4 キニチ=アハウ*4

*1:中村耕作「顔面把手と釣手土器」(神奈川県考古学会『考古論叢神奈河』17集 2009年)より。

*2:欠損によるものではなく、もともと右目が十文字だった。

*3:「かじょうじ」と読む。

*4:https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/564x/4c/1d/df/4c1ddf7924a4b5e08be108599b4eb4f2.jpg