神話とか、古代史とか。

日本をはじめあちこちの神話や古代史、古代文化について、考えたこと、わかったこと、考えたけどわからないことなど。

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

釣手土器の話 10 - ひょっとこ顔の釣手土器

前回、曽利遺跡出土土器の人体装飾(図1左)が、「口を開けたヘビ」を頭に乗せていることに注目した。 これとほぼ同じデザインは、井荻三丁目遺跡*1(東京都杉並区)出土の釣手土器(図1右)にもある。 図1 左:曽利出土/右: 井荻三丁目出土*2 ひょっとこ…

釣手土器の話 9 - 頭上に口を開けたヘビ

図1 御所前出土*1 御所前遺跡出土土器(図1)の人体装飾には、目だけがやけに強調された奇怪な顔面がついていた(前回参照)。これと似たようなデザインは、縄文土器には結構ある。その中で、特に御所前土器に近いのは、曽利遺跡から出た「人体装飾付土器」…

釣手土器の話 8 - 顔面把手、裏の顔

引き続き、「釣手土器背面の2つの窓が、目を表してるかどうか」という話だ。これを考える上では、顔面把手と呼ばれる遺物が参考になる。釣手土器のデザインには、顔面把手付土器が大きな影響を与えているからだ(第5回参照)。 で、顔面把手の裏側を観察して…

釣手土器の話 7 - 真ん中のこれはヘビだろう

前回に続き、釣手土器背面の話である。 釣手土器の背面でまず目立つのは、真ん中を上下に走る「ベルト」だろう。なにやら複雑な模様が刻まれているが、これはどうやらヘビを表しているらしい。たとえば曽利釣手土器のこの部分を、同じく曽利遺跡出土の「蛇身…

釣手土器の話 6 - この裏面は顔なのか?

釣手土器正面の話はこれくらいにして、ここから裏側(図1。窓が2つある方)の話である。これは本当に、「死んだ女神の頭部」なのか? まぁ死んでるかどうかはおいとくとしても、さしあたり顔なのかどうかが問題だ。 図1 左:曽利出土/右:御殿場出土*1 ちな…

釣手土器の話 5 - シンプルな方の釣手土器

釣手土器はお祭用なので、縄文土器の中でもかなり凝ったつくりになっている。でももちろん、顔面把手までついているものは、全体の中のごく一部だ。その他の釣手土器はもう少し地味で、たとえば図1(長野県富士見町、井戸尻遺跡出土)のようなものが多い。 …

釣手土器の話 4 - 火を産む神

ここでようやく本題の、文様解読の話になる。 まず注目してみたいのは、曽利遺跡から出た釣手土器(その正面側)の造形だ(図1)。これは果たして本当に、「火を産み出す女神」の姿なのか? 図1 曽利出土(くどいようだが、首から上は推定復元)*1 この点を…